1.2.3.4.
日本の労働者一人当たりの経済生産高は、 2010年からほぼ横ばいの 状態です。5 労働生産性は G7 諸国の中で最も低く、 低成長とインフレが続く「スタグフレーション」とも呼べる状況に陥っています。6 7
AI は、 定型的な業務を自動化し、 人々がより付加価値の高い活動に時間を使えるようにすることで、10年以上にわたる生産性の停滞を打破する大きな可能性を秘めています。8 9
弊社の分析によれば、 現在の AI 技術は、 労働者のおよそ半数(48%)の能力を大幅に高め、 生産性を向上させる可能性を秘めています。一方で、 今日の労働者の21%は、 AI時代の新しい仕事の機会に対応するために、 スキルアップの必要性が浮き彫りになっています。 AI は、 このスキルアップの分野でも力を発揮します。10
AI は、 労働者のスキル向上にも貢献します。 例えば、 トップパフォーマーのノウハウを学ぶことで、 全体の生産性を底上げすることができます。
労働時間当たりGDP、 2022年米ドル現在価格、購買力平価(PPP)
出典: OECD
日本は、 世界で最も高齢化が進んだ国です。 65歳以上の人口が 1996 年から2020年の間に89%増加した一方で、 64歳未満の人口は 減少しました。11
急速な人口減少により、 日本の労働力は着実に縮小しています。生産年齢人口は2040年までに18%減少し、 1,100万人の労働力が 不足すると予測されています。 特に、建設、運輸、介護といった基幹産業で、人手不足は深刻化する見込みです。12
AI は、 この課題に対する待望の解決策となり得ます。 人手不足が 深刻な分野の業務を自動化することで、 高齢化が進む中でも生産水準を維持することが可能になります。
また、 既存の能力を強化することで、 労働者一人当たりの生産量も 増加させ、 より少ない人数でより多くの成果を上げることができます。全体として、 AI の普及は、 高齢化によって生じる日本の潜在的な労働力不足の41%を補うことができると推定しています。
東京大学と Google のパートナーシップは、 AI を活用して、 人手不足 に悩む産業と働き手を結びつけるという、 新たな可能性を示しています。
出典:The World Bank
2024年6月、 Google は、 日本の高齢化社会や労働人口の減少などの 社会課題に取り組むため、 東京大学 松尾・岩澤研究室とのパートナーシップを結び、 日本全国 47 都道府県に生成AIソリューションを展開す る 取り組みを発表しました 。13
この取り組みは、 第一弾として、 雇用のミスマッチ解消を目指した大阪府との取り組みを開始しています。 求職者に対しては、 AI がまだ見ぬキャリアパスや適性を見出したり希望の職に就くための具体的なステップ 提案したりし、 企業に対しては、 より費用対効果の高い採用活動のための資料を作成したり、既存の従業員の特性から有望な候補者を特定したりする、といったアプローチを想定しています。
こうした人と仕事のマッチング能力は、 地域の労働力不足を解消し、労働力の新たな可能性を解き放ちます。 現在、 大阪、 広島、 大分、宮城、 愛知、 栃木、 神奈川、 鹿児島の8つの都道府県で、 その地域の課題解決に関するプロジェクトが進行中です。 雇用、 健康、 福祉、 持続可能性といった主要分野に焦点を当てることで、 この協力関係は、 経済的・社会的に強靭な国づくりのための青写真を描くことを目指しています。
現在、 東京は日本のGDPの20%以上、 実に110兆円(7,200億米ドル)を占めており、 これはシンガポールやタイといった国を上回る規模です。 14日本経済の東京への依存度は 高く、 地方は労働力の流出や集積効果の低下に苦しんでいます。 15また、 地方が農業や製造業に依存しているのに対し、 東京はサービス産業が中心の、 より多様な経済構造を持っています。16
このような経済格差にもかかわらず、 AI の利用率は全国的にほぼ均一であり、現在と将来の予測において、東京と地方との間にほとんど差は見られません。
AI が日本の製造業や農業の能力を向上させることで、地方の生産性が向上し、 経済のバランスが是正される可能性があります。